今この本を読んでいます。著者は世界最大級の資産運用会社の創業者ハワード・マークスで、債券投資のスペシャリストです。投資手法そのものというよりは市場に向き合うための心構え、特に損失をできるだけ小さくすることの大切さを説いています。
自分の備忘録を兼ねる意味で、心に残った部分を紹介したいと思います。
「理論上、理論と実践の間に違いはないが、実際はある。」 ヨギ・ベラ P25
利益や配当、株価水準、あるいは事業内容についての無知(あるいは無関心)な投資家は、単純に正しいことを正しいタイミングで行うのに必要な強い意志を持つことができない。周りの人がみな株を買い、カネを儲けている状況において、株価が上がりすぎたことを理解し、その輪に加わるのをやめることなど不可能だ。また、株価が急落しているときに、持ち株を保有し続けたり、大幅に低下した価格で買ったりするのに必要な自信を持つこともできないのだ。P51
バリュー投資家が最も高い利益をあげるのは、割安な資産を買い、まめにナンピン買いをしているうちに、価格が分析どおりに上昇した場合である。P52
非効率な市場では、有能な投資家がベンチマークよりも低いリスクをとってベンチマークと同水準のリターンを達成することも可能だ。私は、こちらこそがすぐれた運用だと思う。P111
「投資は相対選択の学問だ」シドニー・コトル P178
「面倒を起こすのは、知らないことではない。知らないのに知っていると思いこんでいることだ。」マーク・トウェイン P215
振り子の振動を正確に予測し、つねに正しい方向に動くことができたら申し分ないだろうが、そのようなことに期待するのはまったく非現実的だ。それよりも、 以下のことに力を注いだほうが、はるかに分別がある。それは、①相場が振り子の一端に達するときに備えて警戒を怠らない、②変化に応じて自分の行動を調整 する、そしてこれが最も重要なのだが、③サイクルの頂点と谷底で多くの投資家を完全にまちがった行動へと駆り立てる群集の振る舞いに、歩調を合わせない、 だ。P220
だから周りを見渡して、自問するがよい。投資家は楽観的か、悲観的か。メディアに登場するコメンテーターは、果敢に攻めろと言っているか、買うなと言っているか。新手の投資商品はすんなり受け入れられたか、あっという間に見向きもされなくなったか。新株発行やファンドの新設は金儲けのチャンスと思われているか。それとも落とし穴の恐れありと見られているか。資金の調達はすこぶる容易か。あるいは不可能に近いか。PERは歴史的に見て高いか低いか。イールド・スプレッドは小幅か大幅か。これらすべてが重要な疑問点であり、その答えはどれも未来を予測しなくても導き出せる。将来について推測しなくても、現状に目を凝らせば、卓越した投資判断を下すことも可能なのだ。P221
特に、「15 今どこにいるのかを感じとる」でバイ&ホールドよりも、振り子の振れ方を利用して、リスクを減らし、リターンを増やすことを推奨していることが印象的です。(P220,221) 他にもたくさんの教訓が得られる良書です。
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