2017年10月29日日曜日

「完全なる投資家の頭の中」 トレン・グリフィン



世界で最も聡明な投資家の一人であるチャーリー・マンガーの金言がちりばめられたすばらしい本です。この本を読んで思うことは、腰のすわったバリュー投資を行うには広範な知識、広い視野、多面的な分析が必要だということです。

日常で投資情報を拾っているとどうしても四季報がどうだとか、どこのお店が繁盛しているとかそういう話になりがちです。しかし、そのような近視眼的な視野ではほとんどの場合すでにある程度買われている銘柄しか拾うことができません。

しかし、歴史に学び、世の中の大きな流れを俯瞰的に捉え、株式市場の喧騒から少し離れて思考すれば、本物のバリューを見つけることができます。しかし、このようなバリュー投資は報われるのに最低でも2、3年はかかるため、本物の忍耐力が試されます。

また、バークシャー(マンガー)は可能な限り永遠に保有したいと考えています。これは節税の問題もありますし、多額のフロートが年々積みあがっている影響もあるのだと思います。普通の投資家ならば(私もそうなのですが)欲しい銘柄がいくつもあって資金が足りないのが常です。とはいえ、その言葉とは裏腹に、意外に(通常の投資家よりはよっぽど少ないですが)バークシャーはそれなりに売買を行っています。意外とあっさり売却することもあります。それだけ永続的に保有に足る条件を満たすことは難しいのでしょう。

以下は、本書の中で心に響いた部分です。マンガーではない人の金言も含まれていますが。

p53
公開市場でトレードする投資家にとって、安全域は高速道路の車間距離に似ている。どちらも目的は予想を不要にすることにある。前の車と適切な車間距離を空けておけば、今見えることには反応する必要があるが、前の車の運転手の行動を予想する必要はない。 
これはとても分かりやすい表現です。

p96
お金の問題については、何千ページにもわたる規則よりも、基本原則である「自分の資産をつぎ込んでいる」かどうかを注視すればよい。
最近この点はあまりチェックしていませんでした(汗)。確かにその通り。だから一般的にオーナー企業の成長性の方が優れているのですね。

p120
プロスペクト理論が金融界にもたらした最も重要な貢献は損失回避、つまりほとんどの人は損失のほうが同じ金額の利益よりも大きく感じるという発見です。経験的証拠から、私たちが損失によって受ける喪失感は、利益による喜びの2~2.5倍大きいことが分かっています。
これは何度言っても言いすぎることがないほど重要です。私も若い頃、有望な銘柄を利確して、見込みのない銘柄の損失を先送りして、目も当てられないポートフォリオだったことがありました。このことを10年早く気づいていたら今頃は・・・。

p166
アインシュタインですら、ひとりで研究していたわけではありません。大きな学会に出席しなかっただけです。人はだれでも話し相手が必要なのです。
今私に足りない部分かもしれません。投資に関してはすべて一人で決めていますし、ネット上の人の意見を参考にすることはよくありますが、相談したことはありません。

p189
ソロスは、自分以外の人たちがハイテク株で大儲けしていることに耐えられず、結局、巨額の損失を被りました。
マンガーは自分のコアコンピタンスにとどまることを特に強調しています。このこととコアコンピタンスを広げることとのバランスとその理解が難しいですね。折しも最近バークシャーはアップルへの巨額の投資を行っています。

p190
ウォーレンと私が持っているスキルは、簡単に教えることができます。ひとつは自分の能力の優位性を知っていることです。もしその優位性が分からなければ、それは能力とは言えません。また、ウォーレンも私もよくある愚行を退けるのが得意です。私たちは、標準的な間違いを懸命に排除してきただけで、たくさんの有能な人たちや勤勉な人たちの先を行くことができています。
簡単な間違いを退け続けることが何よりも重要です。今の状況ですとやはり相場の過熱感には注意を払いたいです。個別に見て買われすぎているものがあれば適度に売って、下落に備えてそれなりの資金量は確保しておきたいところです。ただ必要以上に売る局面でもないかなと思っています。

p241
堀について
1.供給側の規模の経済性と範囲の経済性
2.需要側の規模の経済性(ネットワーク効果)
3.ブランド
4.規制
5.特許と知的財産
供給側と需要側で規模の経済性を分けて考えるとわかりやすいんですね。この両方を備えているのがアマゾンだとのこと。
 


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2017年10月27日金曜日

資産運用額と日経平均株価指数チャートの比較(2017/10/27)

4週週末の恒例、 資産運用額と日経平均株価指数チャートの比較(真ん中は縦軸対数、下はアベノミクス開始以降)です。





今年3月末からのパフォーマンスはPFが+29.0%(+16.4%)、日経平均が+16.4%(+7.3%)、スプレッドは+12.6pt(+9.1pt)です。暦年ではPFが+35.3%(+22.1%)、日経平均が+15.1%(+6.2%)、スプレッドは+20.2pt(+15.9pt)です。( )内は前回の数値です。

この一月はPFと日経平均が共に値上がりしました。史上初の16連騰があったように日経平均は絶好調でしたが、PFはこれを上回ることができ、スプレッドは拡大しました。ペッパーとアクアラインのおかげです。ラッキーでした。

またペッパーの話題になってしまいますが、本日は幸楽苑とのFC契約を発表し、両者とも暴騰しています。ペッパー株の予想PERは実に約120倍。外食チェーンで平均的なPER20倍と比較すると6倍。つまり今期の予想利益の6倍の利益を期待されていることになります。今期の予想最終利益は12億ですので、6倍だと72億です。下記リンクによれば、飲食店ではないセブンアイを除外すると、すかいらーく、ワタミの次となるので、国内トップ3の評価になります。

飲食業界 純利益ランキング一覧-業界動向サーチ

また最終利益が72億に達するには倍々ゲームで増加しても3年近く、CAGR30%では7年かかることになります。こんな簡単な想定からもわかるように理屈上はどう説明しようともう限界です。しかも月曜日が決算発表で材料出尽くしとなりそこで相当売られる可能性が高いと思います。ただ、株価から言って8月末に続いて再度株式分割もありえない話でもないし、他に何のニュースが飛び出すかわかりませんのでそうなった場合予測不可能です。とにもかくにも私にとっては人生初のテンバガーで同社には感謝の念しかありませんが、まだ少しだけ保有してますので、今後のニュースと同社株の動きを思う存分楽しみたいと思います。今後もテンバガーを掴むことはあると思いますが、一年以内での達成はもう二度とないでしょうね。

こんなペッパー株のボラティリティの高さを横目に見ながら、他の主力株の対応を適切に行っていきたいと思います。


一か月前の状況はこちら
資産運用額と日経平均株価指数チャートの比較(2017/9/23) - バフェット流バリュー株投資で資産形成+


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2017年10月22日日曜日

現在の保有銘柄の状況(2017/10/22)

第3週恒例、現在の保有銘柄の状況です。




加重平均PERは19.92(先月)→23.87(今月)となりました。ペッパーのせいとは言え高いですね。。。


今月の主要銘柄の売買はありませんでした。


売り ペッパーFS、ハンズマン、アクアライン

買い ジェイエスエス


3053 ペッパーFS
今月は流石に一部利確しました。しかし、ペッパーFSの9月月次が既存店41.6%増、全店137.2%増ととんでもないことになっています。加えてホリイフードサービスなどによるFC展開が見込めること、ロードサイドにも出店の目途がついたことにより来期は200店出店するとのリリースがありました。超高速出店予定であるため、個人的には不安もあるのですが、これらの戦略の成否を見定めながら、持ち株の対応を考えていきたいと思います。

7636 ハンズマン
想定以上に8月、9月の月次が伸び悩んでいたので、8、9月の反撃を見込んでの買い増し分は売却しました。あとは利益の出方ですが、流石に減益となるんでしょうね。中長期的には伸びると思っていますので、一定数以上はホールドを続けていく予定です。

6173 アクアライン
かなり株価が上昇してきましたので少しだけ売却、残りは成長スピードと株価上昇スピード次第ですが、「損切は早く、利確はゆっくり」の格言通り、成長するならできるだけ長く保持したいというのが本音です。


6074 ジェイエスエス
業績が上向きなのに、持ち株の中でかなり出遅れているため、アクアラインを減らす代わりに購入。悪くないと思うんですけどねえ。スポーツクラブ系ではセントラルスポーツやルネサンス等も停滞しており、そそられます。好調なのは持ち株の東祥とカーブスのコシダカですね。

現在株価 1000円、PER 11.1倍、PBR 1.76倍、ROE 15.8%、DCF法適正株価 1709円




この一か月で最も良いパフォーマンスはペッパーFS(+44.0%)、次がアクアライン(+40.0%)でした。ペッパーFSは3か月連続、アクアラインは前回にひきつづき登場です。特定の銘柄に資金が集まる傾向が顕著です。ペッパーは上述の通りです。今後も乱高下するのでしょうね。アクアラインは決算分析で書きましたが、好調ではありますが、利益にバラツキがあったり、4Q編重であったりするため、現在のPERくらいになると今後やはりボラティリティは高くなるものと思われます。大化けを妄想してホールドの予定です。

最もパフォーマンスが悪かったのがジェイエスエス(+1.0%)、次がステップ(+2.9%)でした。ここでプラスしか書かないのは初めてで少々びっくりしています。ジェイエスエスも上述の通りです。ここでもたもたしているので買い増ししたということですね。ステップは今年度は今のところ横ばい圏ですが、増収増益を続けていますし、増収増益が続いていますし、配当もまずまずで優待もクオカードですし、放置していて問題ないと思っています。次に暴落があればがっつりと仕込みたいところです。まあ当分こなそうですが。



いよいよ明日は衆院選投票日です。当初は小池さんが矢継ぎ早に手を打ち優位に立ち、選挙のうまい人だなあと思っていましたが、民進党との合流のゴタゴタから失速。都議選の熱狂は何処へやらという感じになってきました。もちろん勝負は明日にならないと分かりませんが。それはともかく、風が吹いているとみればもてはやし、人気がなくなるとこぞってネガティブに報じるマスコミには閉口します。ニュースもエンターテイメントの一部だから視聴者が見たいものを報道する。そのためにトレンドが増幅されるような一方的な報道になるのでしょうか。それとも意見の多様性を嫌う日本人の特質なのでしょうか。もっと淡々と事実のみ報道すれば良いのにと常々思います。


約一か月前の状況はこちらです。
現在の保有銘柄の状況(2017/9/16) - バフェット流バリュー株投資で資産形成+


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2017年10月18日水曜日

【決算分析】6073 アクアライン 30年2月期2Q

6073 アクアライン 東M

■事業概要
水回りの緊急トラブルに対応する「水道屋本舗」を全国展開。正社員比率が高く、信頼感のある接客が売り。ミネラルウォーターの販売も。リフォーム事業への展開期待。

■決算全般
20%増収、2倍以上の増益と1Qに引き続き超好決算でした。利益は下期編重ですので、まだまだ予断は許しませんが、心配な要素は今のところありません。しいて言えばリフォーム紹介事業の会社の業績について何も触れられていないのが気になります。触れないということはまだ大した成果は上げられていないということなのでしょうね。しばらくは「水まわり緊急修理サービス事業」と「ミネラルウォーター事業」の両輪の成長に期待です。


 以下株探より引用

アクアライン【6173】、上期経常が99%増益で着地・6-8月期も28%増益 | 株探ニュース






■4半期単計分析
2Qの利益は昨年よりも伸びていますが、一昨年とはあまり変わりません。利益面ではややムラがあります。原価は安定しており、変動の原因は販管費です。昨年の失速は先行投資による経費増のようですね。やはり小型成長企業は利益の増減で一喜一憂しすぎずに、トップラインの伸びの力強さを確認するのが大切です。その点で同社は〇ですね。








■株価動向
決算発表前後で暴騰中です。ホルダーとしてはうれしい限りですが、悩ましい局面になってきました。



■指標
現在株価 3290円、PER 26.0倍、PBR 6.05倍、ROE 25.9%、DCF法適正株価 1690円



前回の記事はこちら
【決算分析】6073 アクアライン 30年2月期1Q - バフェット流バリュー株投資で資産形成+


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2017年10月14日土曜日

ドル円と日経平均のチャート確認(2017/10/14)

まずはドル円チャートです。


▼3カ月チャート

衆院選の噂が立ってから一気に円安になりました。今は円安が一服した状況です。



▼1年チャート
 
結局は横ばい圏ということですね。




▼5年チャート

120円は超えず、100-120円のレンジの中での動きです。ここまで引くと最近の動きは大きな動きでないことがわかります。




▼25年チャート





次に日経平均チャートです。


▼3カ月チャート

自公圧勝観測で大きな上昇。安倍政権は色々と言われていますが、株価は正直です。もういい加減メディアの偏向報道はやめて欲しい。モリカケ問題もう一年近くやってませんか。異常です。





▼1年チャート

先月の下値抵抗ラインから一転急騰で上昇トレンド継続です。




▼5年チャート

長期で見ると上昇トレンドは継続しています。





▼25年チャート

21年 振りの高値だそうです。株をやっている人で安倍政権に感謝しない人はいないでしょうね。今回の衆院選の各党の公約を見ても消費税については耳障りの良いことを言っているところが多いですが、それを含めた財政政策あるいは金融政策でまともな政権運営ができそうなのはやはり自民党しかありません。個人的には自民党内でも石破さんとかになったらとても心配です。

ですので、今の政権ができるだけ長く続くことを祈っています。そしてしっかりとした経済成長を実現してから、未来に向けて消費税増税を行って欲しい。今は安倍さんしかできるイメージがありません。





前回のエントリーはこちら。
ドル円と日経平均のチャート確認(2017/9/9) - バフェット流バリュー株投資で資産形成+


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2017年10月7日土曜日

投資信託の状況確認【確定拠出年金】(2017/10/7)

「投資信託の状況確認」は、現在投資中または投資予定のある投資信託の状況を確認し、年金運用に役立てるためのコーナーです。


年金積立インデックスファンド日本債券:0231B01A:青
DC・ダイワ・ストックインデックス225:0431301C:赤
インベスコ MSCIコクサイ・インデックス:18312023:緑
年金積立インデックスF海外新興国株式:02311084:黒
Jリートアクティブファンド(1年決算):6431307A:黄



1か月チャート



まず最近一か月の動きです。上から順に日経225インデックス、外国株式インデックス(インべスコMSCIコクサイ)、新興国株式インデックス、日本債券インデックス、Jリートアクティブでした。

株式は日米とも年初来新高値をつけていますから、この順位は当然ですね。対してJリートが相変わらず弱いです。

Jリートの利回りは平均で 4.01%(前回)→4.16%(今回)となりました。(J-REIT一覧 - JAPAN-REIT.COM)。利回りがどんどん良くなってきています。

Jリートの利回りと長期金利、そのスプレッドのグラフです(マーケット概況|J-REIT.jp | Jリート(不動産投資信託)の総合情報サイト | ARES J-REIT View)。長期金利は横這い、Jリートの利回りは上昇していますので、スプレッドは上昇していますす。過去10年で見るとスプレッドは少し大きい部類に入るくらいになってきたかもしれません。

一方、東証一部の配当利回りは横這いです。長期金利とのスプレッドも横這いですが、過去10年で見るとまだ大きい部類になります。過去のスプレッドのデータからは東証一部の株価はまだ割安だということです。



過去一年の金利です。日本の金利はここ一年近く0~0.10%の間で安定しています。日銀はしばらくは0金利近辺になるように、質・量を調整し、誘導すると宣言していますので、方針に変更がない限り10年金利はこのレンジで推移することになるのだと思います。





1年チャート




上から新興国株式インデックス、外国株式インデックス(インべスコMSCIコクサイ)、日経225インデックス、日本債券イン デックス、Jリートアクティブとなっています。

1年で見た場合、株式系はまだまだ好調です。Jリートはじり貧です。

日経平均前期実績のPERは14.90倍(前回)→15.72倍(今回)、今期予想が14.27倍(前回)→14.62倍(今回)でした。(国内株式指標 :株式 :マーケット :日本経済新聞)。

 各市場の過去のPERの水準を確認するにはこちらのサイトが便利です。
銀行.info  - 世界主要株式市場の株価収益率(PER)

過去のPERと照らし合せると9月としては低くもなく、高くもないPERとなっています。株価は企業業績の先行き次第といった感じでしょうか。


2年&5年チャート






前回の記事はこちら
投資信託の状況確認【確定拠出年金】(2017/8/6) - バフェット流バリュー株投資で資産形成+

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