世界で最も聡明な投資家の一人であるチャーリー・マンガーの金言がちりばめられたすばらしい本です。この本を読んで思うことは、腰のすわったバリュー投資を行うには広範な知識、広い視野、多面的な分析が必要だということです。
日常で投資情報を拾っているとどうしても四季報がどうだとか、どこのお店が繁盛しているとかそういう話になりがちです。しかし、そのような近視眼的な視野ではほとんどの場合すでにある程度買われている銘柄しか拾うことができません。
しかし、歴史に学び、世の中の大きな流れを俯瞰的に捉え、株式市場の喧騒から少し離れて思考すれば、本物のバリューを見つけることができます。しかし、このようなバリュー投資は報われるのに最低でも2、3年はかかるため、本物の忍耐力が試されます。
また、バークシャー(マンガー)は可能な限り永遠に保有したいと考えています。これは節税の問題もありますし、多額のフロートが年々積みあがっている影響もあるのだと思います。普通の投資家ならば(私もそうなのですが)欲しい銘柄がいくつもあって資金が足りないのが常です。とはいえ、その言葉とは裏腹に、意外に(通常の投資家よりはよっぽど少ないですが)バークシャーはそれなりに売買を行っています。意外とあっさり売却することもあります。それだけ永続的に保有に足る条件を満たすことは難しいのでしょう。
以下は、本書の中で心に響いた部分です。マンガーではない人の金言も含まれていますが。
p53これはとても分かりやすい表現です。
公開市場でトレードする投資家にとって、安全域は高速道路の車間距離に似ている。どちらも目的は予想を不要にすることにある。前の車と適切な車間距離を空けておけば、今見えることには反応する必要があるが、前の車の運転手の行動を予想する必要はない。
p96最近この点はあまりチェックしていませんでした(汗)。確かにその通り。だから一般的にオーナー企業の成長性の方が優れているのですね。
お金の問題については、何千ページにもわたる規則よりも、基本原則である「自分の資産をつぎ込んでいる」かどうかを注視すればよい。
p120これは何度言っても言いすぎることがないほど重要です。私も若い頃、有望な銘柄を利確して、見込みのない銘柄の損失を先送りして、目も当てられないポートフォリオだったことがありました。このことを10年早く気づいていたら今頃は・・・。
プロスペクト理論が金融界にもたらした最も重要な貢献は損失回避、つまりほとんどの人は損失のほうが同じ金額の利益よりも大きく感じるという発見です。経験的証拠から、私たちが損失によって受ける喪失感は、利益による喜びの2~2.5倍大きいことが分かっています。
p166今私に足りない部分かもしれません。投資に関してはすべて一人で決めていますし、ネット上の人の意見を参考にすることはよくありますが、相談したことはありません。
アインシュタインですら、ひとりで研究していたわけではありません。大きな学会に出席しなかっただけです。人はだれでも話し相手が必要なのです。
p189マンガーは自分のコアコンピタンスにとどまることを特に強調しています。このこととコアコンピタンスを広げることとのバランスとその理解が難しいですね。折しも最近バークシャーはアップルへの巨額の投資を行っています。
ソロスは、自分以外の人たちがハイテク株で大儲けしていることに耐えられず、結局、巨額の損失を被りました。
p190簡単な間違いを退け続けることが何よりも重要です。今の状況ですとやはり相場の過熱感には注意を払いたいです。個別に見て買われすぎているものがあれば適度に売って、下落に備えてそれなりの資金量は確保しておきたいところです。ただ必要以上に売る局面でもないかなと思っています。
ウォーレンと私が持っているスキルは、簡単に教えることができます。ひとつは自分の能力の優位性を知っていることです。もしその優位性が分からなければ、それは能力とは言えません。また、ウォーレンも私もよくある愚行を退けるのが得意です。私たちは、標準的な間違いを懸命に排除してきただけで、たくさんの有能な人たちや勤勉な人たちの先を行くことができています。
p241供給側と需要側で規模の経済性を分けて考えるとわかりやすいんですね。この両方を備えているのがアマゾンだとのこと。
堀について
1.供給側の規模の経済性と範囲の経済性
2.需要側の規模の経済性(ネットワーク効果)
3.ブランド
4.規制
5.特許と知的財産
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