少し前の話になりますが、先日ヴィレッジヴァンガードが棚卸資産評価損により業績予想を下方修正し話題になりました。
ヴィレッジヴァンガードコーポレーション【2769】、今期経常を一転赤字に下方修正 | 株探ニュース
ヴィレッジV <2769> [JQ] が1月14日大引け後(17:30)に業績修正を発表。14年5月期の連結経常損益を従来予想の0.6億円の黒字→1.3億円の赤字(前期は27億円の黒字)に下方修正し、一転して赤字見通しとなった。
結局私は投資していませんでしたが、一度検討したことがあって少なからず衝撃を受けました。もっとも株価的には昨年の5月をピークに低迷を続けており、昨年7月に特損を出した時点からある程度予想はされていたようです。
もし自分が投資していたら少なくとも7月の特損を前に異常を察知したいところです。そのためにはどうすれば良いか?何を確認すれば可能だったのかを今後のために検証したいと思います。
在庫回転率の推移を確認する
始めに目につくのが棚卸資産評価損を出しているという点です。店舗の業態を知っている人は直ぐにぴんと来ると思いますが、店舗には商品が所狭しと陳列されており、マニアではない私としては誰が買うのかと疑問に思う商品がたくさんあるわけです。
それが店舗の魅力でもあるのですが、経営的な弱点にもなります。つまり不良在庫が多いのではないかという点です。これは在庫回転率の推移を見ることで確認できます。
在庫回転率は売上高/販売在庫で算出できます。この数字は在庫の何倍の売上をあげているかを示しており、高いほど不良在庫を抱えておらず、効率良く商売ができていることを示します。
ヴィレッジヴァンガードでは売上が思うように上がらず、この在庫回転率が徐々に下がっていき、耐えられずに在庫の評価損を計上したと想像できます。
それでは実際はどうだったのかを私の持ち株であるトレジャーファクトリーと共に示します。
まず、ヴィレッジヴァンガードの在庫回転率が2.5回程度となっており、その低さが目を引きます。 トレジャーファクトリーの8回程度と比較しても低いですし、ファストリやしまむらは12回程度で超優良、イオンの衣料部門などは4から5回で低いと言われていますから、 ヴィレッジヴァンガードの低さは際立っています。
それとともに気がつくのが、 ヴィレッジヴァンガードの在庫回転率は低下していないということです。これは調べてみて予想外でした。むしろトレジャーファクトリーのほうが数字にバラツキが大きいです。
売上高営業利益率の推移を確認する
しかしヴィレッジヴァンガードは昨年相当苦しかったはずです。ビジネスとして何の変化もなければ評価損を出すはずがありません。そしてその苦しさが数字に表れないはずはありません。
そう考えると次に苦し紛れに売上をあげた可能性が考えられます。つまり利益を犠牲にして売上をあげる訳です。それはどの数字に表れるか?それは売上高営業利益率です。早速比較してみます。
このグラフで一目瞭然です。営業利益率が5年前の約半分になっています。同じ営業利益を得るのに倍の売上を必要とするのですからこれは苦しいわけです。しかもここ最近低下に勢いがついています。
まとめ
以上の考察より販売が上手く行っているかどうかを確認する指標は
在庫回転率の推移
売上高営業利益率の推移
となり、これらのチェックを怠らないことが大切だと分かります。
しかしヴィレッジヴァンガードの例で言うと、H25の数字はH25年7月のものなので、この時点で気付いても暴落には間に合いません。なのでその前の第3四半期決算までに異変に気づけるかがポイントでした。
第3四半期で確認してみると在庫が200億を超えているのに売上が330億しか上がっていません。この時点では在庫回転率のほうが壊滅的でしたので、異変に気付くのはそう難しくはないと思われます。
結局、
ビジネスがうまく行っていない場合、「在庫回転率」か「売上高営業利益率」のどちらかに異常が表れるので、これらの推移をしっかりと観測しておくことがとても重要であることが分かると思います。
ちなみにトレジャーファクトリーでは売上高営業利益率がむしろ上昇傾向であり、特に問題はなさそうです。
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http://mnt01.blogspot.com/2014/01/2.htmlヴィレッジヴァンガードにみる販売が順調かを確認できる2つの指標