市場全体PERだけでは相場全体の動向は見通せないという結構ショッキングな内容から始まります。その他大昔からの金利やインフレ率のグラフなど将来きっと何度か参照したくなるような貴重なデータが豊富で、手元に置いておくと非常に重宝しそうな書籍です。
この本は現在図書館から借りており、安ければ買ってしまおうかと思ったのですが、中古でも3600円程度・・・。結構高いです。kindle版なら約1800円。うーん。そのうちkindle購入も含めて検討したいと思います。
以下は個人的に印象に残った内容のメモです。
・私は最近ではマーケット全体の予測をするときに、要素としてPERやそれ以外の比率をフィルターとして使うのをやめてしまった。
PERや株式益回りは、特定の銘柄を同業他社と比較するときだけに使えば良い。(P39)
・
長期金利との比較と、マーケットの価値に対する全体的なセンチメントを考慮しなければ、PERを正しく判断することはできない。(P45)
・ 収益は短期で見た場合、誤解を招くことが多い。しかし、
長期的に見れば、このチャートが示すとおり収益ばマーケットの方向性を支配している。(P51)(これはピーター・リンチも言っていますね)
・実は過去の株価の変化から景気を予想するとかなり当たる。ただ、景気予想から株価を予想するのはほぼ無理だろう。理由は、
株式市場がまるで魔法のように経済をいつも先導しているからだ。(P142)
・ PERや将来の収益に基づいて株価が上昇すると予想する専門家がいたら注意してほしい。彼らの理論には無理がある。私が長年フォーブス誌のコラムや著書などで主張しているように、いろんな評価基準を使ってほしい。PERだけで株価を予想することはできないのだ。(P155)
・大きな下落のほとんどは一か月に約2%前後の割合で下げ、それを大きく上回ることも下回ることもあまりない。(中略)大きな弱気相場は規模と期間の駆け引きだ。弱気相場はみんなを悲観的にし、楽観的な人がほとんどいなくなると終わるのだが、このとき規模よりも期間の方が重要になる。短期の急落では、少し前の上昇相場を覚えている人がまだたくさん残っている。
みんなが崩壊は止まらないと感じるようになるためには、投資家が疲れ果てるまで十分な時間が必要なのだ。
そこで、1907年と2%ルールを覚えておいてほしい。もし一部の人たちが言うように1987年のダウ平均の高値である2200ドルが主要な景気循環の高値で、マーケットは次の下落で最低でも25%は下げるのであれば、すぐに底を下がるべきではない。
2%ルールに従えば、底を形成するための十分な悲観論が広がるためには8~16カ月かかり、もっとも可能性が高いのは12カ月くらいだろう。ここは忍耐が必要だ。(P169)
・彼ら(マーケットを打ち負かした人)の共通点は、だれもタイミングで勝負しようとはしていないことで、みんなそれ以外のことに着目している。彼らは「今日は天井だから全部売ろう」と言ったりはしないし、「底」で特別な動きをするわけでもない。
その代わりに、彼らは何らかのファンダメンタルズ的価値を重視した仕組みをもっている。このなかには私がスーパー銘柄と呼ぶ株もあれば、フォーブス誌でいつも紹介しているように質や価格が自分の基準に合う銘柄が見つかった時だけ買う方法もある。
株価が高すぎて自分の基準に見合う銘柄が見つからなければ、彼らは買わない。強気相場がさらに進めば、以前に買った株は高くなりすぎたということで、抜け目のないプロは売却する。しかし、そのとき買いの基準を満たす銘柄が見つからなければ、彼らの現金の割合は増えることになる。(P421)
・これらのチャートは、いわば人の心を落ち着いた気分にしてくれる最高の決定機関のようなもので、伝説の投資家たちが頭のなかのデータを助けとしているように、これらのチャートが読者の助けになってくれるだろう。
マーケットが25%下げて怖くなったときに、注目している銘柄が価値に対して割安だから買っても大丈夫だという安心感が欲しければ、これらのチャートを使って欲しい。(P422)
・(各国の財政赤字を指して)そもそも正しい会計処理を行えば、この大々的に報道されている赤字が本当に存在するのかどうかさえ私にはよく分からない。例えば、もしデュポンがアメリカと同じように帳簿をつけていれば、この巨大な化学企業でさえ何十年もノンストップで赤字に転落するだろう。デュポンが健全性を維持しているのは、企業が工場を建設したり自動車やコンピューターを購入したりするときにそれを貸借対照表の資本勘定に計上し、資産ごとの推定寿命に基づいて少しずつ費用として計上しているからだ。しかし、アメリカには貸借対照表がなく、同じものを買っても即座に計上される。フォーブス社が発表している上位500企業も、政府と同様に超保守的な現金ベースの会計処理を行っていれば、みんな赤字に陥ることになるだろう。
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