2013年10月1日火曜日

消費税増税決定に思う 増税のメリット・デメリット 鍵は実質金利の推移?

今朝目にしたクルーグマンの緊急提言を一部引用させていただきます。


ポール・クルーグマン、日本への緊急提言 — 経済学101

いいかな、もしかすると、日本はこの増税を受けてもなお、経済成長を維持できるかもしれない。でも、できないかもしれない。経済成長が確実に定着するまで待てばいいじゃないの。とりわけ、デフレ予想ががっちりと〔プラスの〕インフレ予想に転換するまで待てばいいじゃないの。

ぼくに言わせれば、消費税増税を延期するのは、純粋に財政の観点から見ても賢明な判断だ。日本でゼロ下限とデフレが組みあわさって生じた深刻な帰結の1つは、日本の実質金利が最近まで他の先進国よりも大幅に高くなってしまっていたことだ――これまでに積み重なった債務がすっごく大きいときには、深刻な懸念事項だよ。実質金利を下げるのは(そして、かなりの部分まで、既存の債務の実質価値を下げてやるのは)、長期的な財政の見通しにとって大いにものをいう。財政責任の名の下に、この前線で事態の進捗を危機にさらそうってのは、おろかでしかない。

そうだね、たしかにゆくゆく日本はもっと歳入を必要とするようになる。でも、リフレーションの方が先決だ。消費増税がいままさに議論されてるってことですら、マジでよくないサインだよ。


まさにその通りだと思います。なぜ数年、いやせめて1年待てないのか。なぜ景気回復により税収がどれだけ増えるかを確認してからにしないのか?むしろそれが判明すると消費税増税するチャンスが失われるからなのか?単純に数字で判断すると、法律上消費税を上げざるを得ないからなのか?消費税増税を延期しようとすると改正法案を通す時間的余裕がないからなのか?不思議なことがたくさんあります。少なくとも景気の観点から今消費税を増税することのメリットはないように思えます。

小泉首相時代には消費税を増税せずとも、プライマリーバランスをかなりゼロに近くできたのですから、景気がしっかり回復してから増税すれば財政の基礎的収支はプラスにできる可能性は高いと思っていました。


基礎的財政収支の推移 - 世界経済のネタ帳


結局、経済よりも政治が優先されたのだと思います。増税した分、低所得者対策として住民税非課税世帯に1人1万円を支給、投資減税や所得促進拡大税制、復興特別法人税の1年前倒しの廃止などバラマキと減税を行い、当面は財政健全化とはなりません。このように消費増税のデメリットは税制や施策が複雑化することとうまく行っているものを動かすリスクだと思います。

それならば数年遅らせてシンプルに増税のみを行った方がよっぽど財政健全化に貢献できる、意味のある消費税増税になると思います。もちろんクルーグマンの言うように上手く可能性はあります。もはやそうなることを祈るしかありません。

消費増税のメリットは財政健全化が進むような印象を与えることでしょう。しかしクルーグマンは上で「消費税増税を延期するのは、純粋に財政の観点から見ても賢明な判断だ。日本でゼロ下限とデフレが組みあわさって生じた深刻な帰結の1つは、日本の実質金利が最近まで他の先進国よりも大幅に高くなってしまっていたことだ」と言っています。

重要なのは景気の観点からだけではなく財政の観点から見て賢明だと言っている点です。鍵は実質金利になると思います。つまり消費増税をしてもデフレを脱却できるのかということです。本当に今増税して実質金利を低い水準に保ち、財政健全化することができるのでしょうか。増税のタイミングは増税することそのものと同じくらい重要なことだと私は思うのですが。

投資の方は相当下がれば保有現金で買い下がることで対応しようと考えてます。

ちなみにロイターのオンライン調査では消費増税を延期すべきが58%となっています。実施すべきは37%。もう時すでに遅しですが。


引用元
消費増税決定、来年4月から8%に:識者はこうみる | Reuters


 首相が消費増税判断、経済対策で落ち込み回避 | Reuters

[東京 1日 ロイター] - 安倍晋三首相は1日、デフレ脱却・経済再生と財政再建の両立をめざし、景気下振れへの対応策を講じたうえで消費税率を予定通り来年4月から8%に引き上げることを決めた。

安倍政権の最重要課題である日本経済の再生、とりわけ15年続いたデフレからの脱却は道半ば。それでも景気下押しリスクのある消費増税に踏み切るのは、財政の持続可能性が疑われれば政府や国債への信認が失われ、政策対応が困難になるリスクの方が大きいと判断したためだ。

消費増税を行ったうえでデフレ脱却への道筋を失うことなく、経済の好循環を実現できるか。成長戦略の実現や規制緩和、賃金上昇など超えるべきハードルは多い。

安倍首相は消費税率引き上げについて、デフレ脱却に向けて動き始めた経済の足取りがとん挫しかねないとして、慎重に判断する意向を示してきた。8月には有識者や専門家から消費増税に関して意見を聞く「集中点検会合」を実施する一方、消費増税を引き上げた場合の景気の落ち込みを考慮して、経済政策パッケージをまとめるよう麻生太郎財務相、甘利明経済再生担当相に指示した。

与党などとの協議を経てこの日発表する経済対策は、消費税引き上げ時の低所得者対策として住民税非課税世帯に1人1万円を支給する簡素な給付措置のほか、投資減税や所得促進拡大税制等も1兆円程度盛り込む。復興特別法人税の1年前倒しの廃止も検討し、12月中に結論を得る。

ただ、これらの措置で景気下振れリスクへの対応に加え、その後の経済の成長力底上げにつなげられるかどうかは、予断を許さない。この日発表された8月の家計調査では勤労者世帯の収入が名目で前年比0.2%の増加となったものの実質では0.9%減。手取り収入は増加しているが、物価上昇がこれを上回り、実質所得は減少している。政府が9月に立ち上げた政労使協議で、賃上げに向けた取り組みがどう進んでいくか、経済の好循環実現には課題も多い。

安倍首相は1日夕方にも記者会見し、今回の消費増税の判断やその背景、対応策などについて国民に説明する。



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