消費税増税の舞台裏に関する良エントリーを見つけたので部分的に引用させていただきます。
消費税増税の攻防経緯と今後の対策 - シェイブテイル日記
前略
増税見直しに傾く安倍に対し、甘利は「今さら先送りは難しい」と考えていた。
参院選直後、甘利は「法律通りに増税して不都合が起きても、民主党政権が決めたことなんだから民主党の責任になりますよ」と安倍に耳打ちした。
安倍は反論した。
「そんな言い訳はできない。政策の評価は時の政権が負うんですよ。物価が上がるだけで、賃金が後追いできなければ、私の政権は終わる。」
だが、安倍は最終的に予定通り8%に消費税率を引き上げる決断を下した。
安倍が先送りを断念したのは、財政再建に後ろ向きと取られて、国際暴落などを招くことを懸念したのに加え、実際に増税を先送りする場合、法改正をしなければならないという事情があったからだ。…「経済状況の好転」を消費増税の条件とする景気弾力条項が盛り込まれている…(略)が、実際に増税を先送りする場合、法改正が必要とされていた。
『景気弾力条項は意味がない。まやかしだ。財務省が巧妙に仕組んだ策だ』と安倍周辺は苦虫をかみつぶした。
「物価が上がるだけで、賃金が後追いできなければ、私の政権は終わる」という安倍総理の現状認識は極めて正しいと私は思います。だからこそ、消費増税には消極的だったのでしょう。仮に消費税増税法案が通ってなければ、所得が増え税収が上がり始めてから増税すればなんの問題もなかったはずです(増税の必要があるのかという議論になる可能性はありますが)。
この点は以前のエントリーでのクルーグマンの見解を参照していただければと思います。景気弾力条項の件も財務省の罠だったとこのとですから本当に財務省の思惑通りの展開となってしまっています。
消費税増税決定に思う 増税のメリット・デメリット 鍵は実質金利の推移? - バフェット流バリュー株投資で資産形成+
97年の消費増税時と異なるのは、現在はデフレ脱却に理解のある黒田氏が日銀総裁だということです。私は忘れていましたが、黒田総裁は以前に「安倍政権が消費税率の引き上げを決断するのであれば、日銀としても援護射撃の用意がある」との趣旨の発言をしことがあるようです。もはやそれに期待するしかないですね。
日銀の追加金融緩和策への期待 | 真壁昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 | 現代ビジネス [講談社]
つまり、今後の株式市場を占う上での焦点は政治から金融に移ったということになります。
さて来年度から消費税が上がります。単純計算で年間300万使う家庭は9万円、500万円なら15万円負担が増えます。我が家ではこの負担増分をどこで吸収しようか頭を悩ませてます。昇給が1%程度と仮定すると2%程度は出費を削らなくては、将来への蓄えが十分できません。
ごく一般的な家庭は恐らく私と似たような考え方をしていると思います。もしくはまだその影響を理解できておらず、来年度後半になって影響を体感し、このままではまずいと思い消費を減らすかもしれません。
企業側から見ると消費者が前年比3%増の消費を行ってやっとプラスマイナスゼロです。消費総額を3%増やしても何の問題もないと思う層はそれ程多くないと思いますので、企業の売上は実質マイナスになるのではないかと思います。
もちろん価格がそれ程上がらない可能性もあります。現にサイゼリアは来年度消費税分を価格に転嫁しないと宣言しています。
サイゼリヤ、消費増税後も価格据え置き 主要メニュー (朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース
その場合には企業側が3%負担を背負うことになります。
つまり企業は以下のどちらかのプロセス(合わせ技でも良い)に賃金を上げる必要があることになります。
・3%以上の売り上げ増を確保し、利益を増やし、賃金を上げる下は無理だとわかっていますから、マイルドインフレ(2%)を達成したとしてで3%以上の売り上げ増が可能性があるかもしれません。しかし、考えれば考えるほど賃金増はハードルが高いように思います。
・実質的には売上は横ばいだが、企業努力でコストを削減し、利益を増やし、賃金を上げる
タイトルの命題が正しいとするならば、安倍さんは政権維持に向けて、とても大きなリスクを背負ってしまったと思うのは私だけでしょうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿